時期により負荷が異なる場合の価格戦略

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在庫を持たないサービス業ではたいていピークを捌く能力の保有問題を抱えている. 航空会社は週の頭と週末とにピークがあり,平日は供給能力の余剰がある. 電気通信業は平日の日中にピークがあり,夕方及び週末に供給能力の余剰が発生する. そのほかレストラン,レンタカー,広告スペースの販売,印刷会社,スポーツジム,リゾート, 電力会社なども同様にオフピーク時の供給能力の余剰が生じている. このような企業はピーク時の価格を変更することでこの供給能力の余剰をコントロールできる.

多くの企業は全生産量に設備費用の平均を配分するという間違いを犯している. 例えば電力会社が3時間のピーク時に 40 %の電力を販売し, 残りの 21 時間に 60 %の電力を販売していた場合, 設備費用(発電所の減価償却や運用費用)の 40 %はピーク時に当てはめられる. その結果として,各 kW(キロワット)単位に同一の設備使用率に対する対価(この例では 円/kW)が適用される. このような考え方は意味がなく,実際に利益を害するものと言える. なぜなら必要供給能力はピーク時の需要に基づいているからである. 追加投資なしでオフピーク時の需要を満たせるため, 設備費用はオフピーク時の販売量の意志決定に影響はない. つまり,オフピーク時の需要に対応する設備費用は,ピーク時の販売に割り当てられるべきである.

ただし,このようにした場合ピーク時への投資条件が厳しくなる. 設備費用がカバーされていることを確実にする方法は, ピーク需要の収入で賄えないような設備投資をしないことだ. 追加キャパシティーが1日のうち数時間,1週間のうちの数日,1年のうちの数ヶ月しか必要ない場合, その時期の価格で設備費用に対応するか, ピークを捌くための十分な設備を持たないようにする(電力会社では不可能だが)かのどちらかになる.

しかしピーク時の収入で設備費用をカバーできていれば, オフピーク時の低価格,低マージン販売の高利益を享受できる. その場合のオフピーク販売による売り上げは設備費用をカバーする必要がないので, その売り上げが純利益に直結する.

ホテル業界では,1日当たりの平均レートで成果を測定するという間違いを犯していた. 1日当たりの平均レートを高める方法のひとつは,単価が一番高いピーク時のみに部屋を貸すことである. この戦略では総資本利益率を高めることはできない. それよりも「利用可能な部屋当たりの収入」という測定基準を使う方がよい. こうすることで「ピーク時に可能な限り高価格で部屋を貸し, オフピーク時は安くても部屋を貸し何かを稼ぐ」という戦略へ変更することになった.