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UNITY SOFTWARE INC. の経営分析(2023/09)

カテゴリ:accounting

この記事では単位のない数値は 1000 ドルを使う。たとえば「Convertible Note を 1,000,000 発行」は「Converticle Note を 10 億ドル発行」という意味になる。

概要

UNITY SOFTWARE INC. は倒産はしないが、経営はうまくいっていない。営業キャッシュフローの赤字の最大は 111,449(2021 年)だが、現金を 1,485,084(2022 年)持っているので倒産しない。

ポジティブ要素

  1. 2022 年の自己資本比率は 45.1%(3,534,566/7,833,985)で適正水準
  2. 売上高に相当する現金を保有している
  3. 売上高は右肩上がり
  4. 2023 年は Q1, Q2 共に営業キャッシュフローが黒字

ネガティブ要素

  1. 4年連続赤字で累積赤字額は 22 億ドル
  2. 2023 年の決算は赤字予定
  3. 累積赤字額が右肩上がり
  4. 2020 年以外の営業キャッシュフローが赤字

売上構造

Create Solutions と Grow Solutions とがある。Grow Solutions は広告、Supersonic、Aura、Luna が含まれる。Create Solutions はそれ以外の Unity の使用料や Unity Gaming など。

以下の売上表の単位は百万ドル。

2019202020212022
Create Solutions247301508716
Grow Solutions294471603675

コスト構造

2022 年までは、費用の増加率が売上高の増加率を上回っており赤字が拡大している。R&D の増加率は一貫して売上の増加率を上回っている。一般管理費のコスト削減が進んでいる。売上原価には減価償却費が含まれるので、それを計算に入れると、売上原価は過大とは言えない。

2019202020212022
売上541,779772,4451,110,5261,391,024
売上原価118,597172,347253,630442,500
R&D255,928403,515695,710959,491
セールス&マーケティング174,135216,416344,939497,956
一般管理費143,788254,979347,912373,290
総営業経費692,4481,047,2571,642,1912,273,237
売上高利益率-28%-36%-48%-63%

損益計算

2022 以前

費用の増加率が売上高の増加率を上回っており赤字が拡大している。

2023(6月まで)

決算は赤字だが売上は増加し、コストを削減した。2023(6月まで)の売上は前年同月比で、68 %増加に対し、コストの増加は 46 %。具体的には R&D の増加を 26 %に抑え、一般管理費の増加を 21 %に抑えた。ただし販売とマーケティングのコストは 108 %増加している。

売上高利益率は前年同月比で -29 %から -12 %へ 17 ポイント改善。

営業キャッシュフロー

赤字決算と営業キャッシュフローの赤字とは違う。赤字決算でも営業キャッシュフローが黒字ならその企業は儲かっている。営業キャッシュフローが赤字の場合、資金が流出しているので以下の方法で運転資金を調達する必要がある。

借金と増資は金利・配当が必要なので、営業キャッシュフローの赤字が加速する。赤字事業の売却でない限り、資産の売却は一時しのぎでしかない。

キャッシュフローの見方

優良企業は以下のようなキャッシュフローになる。これは営業で利益を出し、営業で出た利益で投資をし、借金を返している。

項目結果
営業
投資
財務

投資のマイナス(↓)は新規出店や機械の購入などの投資を行ったことを意味しており、投資のプラス(↑)は資産等を売却したことを意味している。

財務のマイナス(↓)は借金の返済や自社株買いなどを意味しており、プラス(↑)は借金・増資をしたことを意味している。

UNITY SOFTWARE INC. のキャッシュフロー

UNITY SOFTWARE INC. は IPO した 2020 年を除き、営業キャッシュフローが赤字。それにもかかわらず、投資と財務活動で毎年現金の保有量を増やしている。これが UNITY SOFTWARE INC. が直ちには倒産しない理由だ。ただし営業キャッシュフローの赤字が続けばいつかは資金調達ができなくなり倒産する。

2023 年の営業キャッシュフローは黒字になるかもしれない。理由は減価償却費が前年の2倍になっていることと、株式報酬が 1.5 倍になっているため。ただし、この営業キャッシュフローの黒字は給与を株式で支払うことでキャッシュを節約しているだけだ。つまり株式報酬ではなく現金で給与を支払うと営業キャッシュフローは赤字になる。なので収益性の改善が課題だ。

2019

項目結果
営業
投資
財務

2020

項目結果
営業
投資
財務

この年のみ営業キャッシュフローが黒字。新規株式公開等で、現金が 147,096 から 1,293,947 に増加。

2021

項目結果
営業
投資
財務

18 億ドルの投資を行う。以下の企業を買収した(すべて列挙しているわけではない)。

  • Weta Digital 16 億ドル
  • ストリーミング技術会社 Parsec 3.2 億ドル
  • SpeedTree
  • OTO

Convertible Note(将来的に株式に転換されるかもしれない借金。株式に転換されればキャッシュアウトはない)を 1,725,000 発行。満期は 2026/11/15

2022

項目結果
営業
投資
財務

投資のプラスは有価証券等の短期投資(Proceeds from sales of short-term investments, Proceeds from principal repayments and maturities of shortterm investments)によるもの。

Convertible Note(将来的に株式に転換されるかもしれない借金。株式に転換されればキャッシュアウトはない)を 1,000,000 発行。満期は 2027/11/15。財務がマイナスなのは、自社株の買い戻しと消却(1,500,000)とを行ったため。

2023(6月末まで)

項目結果
営業
投資
財務

営業キャッシュフローはプラスだが、2022 年も6月末までの営業キャッシュフローはプラス。

投資のプラスは有価証券等の短期投資によるもの。

財務のプラスは従業員自社株買取選択権制度(Proceeds from issuance of common stock from employee equity plans)によるもの。

外部リンク

Quarterly Results


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