ガチャの確率計算

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よくある間違った期待値の計算

『当選確率が 1% なのであたりの出る回数の期待値は 100 回』というのは間違いだ. 期待値はそのガチャ 1 回分の価値を表現するもので,回数の期待値なんてものは存在しない. 正しくは『当選確率が 1% なのであたりの出る回数の"平均値"は 100 回』だ.

当選確率 1% のガチャを 100 回やったときに,ひとつ以上あたる確率は?

これは外れる確率 99% のガチャを 100 回連続で外す現象の余事象だ. つまり

1 - 0.99100 = 63.4%

当選確率 2% のガチャを 100 回やったときに,ふたつ以上あたる確率は?

1 回も当たらない確率と 1 回だけ当たる確率とを足し合わせたものの余事象だ. 特定回数だけ当たる確率は 2 項分布で計算できる.

二項分布
2項分布
n:試行回数
k:あたりの当たる回数
p:当選確率
q:外れる確率 = 1-p

combination
組み合わせの計算式

一度も当たらない確率は 0.98100 で, 一度だけ当たる確率は 100C10.0210.9899 だ. 計算式は以下のようになる.

1 -0.98100 -100C10.0210.9899 = 1 -0.98100 -2*(0.9899) = 0.597 ≒ 60%

組み合わせ(nCk)は WolframAlpha で計算できる.計算するには検索窓に C(n,k) を入力する.上記の例では C(100,1) になる. 結果は Result の場所に表示される.

result
実行結果

ポアソン分布

ガチャのような発生確率が稀で試行回数の多い事象の場合, 特定回数だけあたる確率はポアソン分布で近似できる.

ポアソン分布
ポアソン分布
λ:平均(当選確率 * 試行回数)
k:計算したい当選回数

上記の例の問題をポアソン分布で計算すると, 一度も当たらない確率は 0.135 で,一度だけ当たる確率は 0.271. 1 - 0.135 - 0.271 = 0.594 ≒ 59%.

当選確率 2% のガチャを 99% の確率で手に入れるには何回やればいいか?

これは 98% の確率で外れるガチャが連続で外れる確率を 1% に以下にするには何回やればいいか? という問題と同じだ.式は以下のようになる.

0.98n < 0.01

両辺の対数をとると n * log 0.98 < log 0.01 よって

log 0.98 < 0 なので不等号は反転している.

最終的に n ≒ 228 になる.

log の計算は Google でもできる. Google 検索で log0.01/log0.98 と入力すると計算できる.

当選確率 0.5% のガチャを 1000 回やってあたりが 2 個だった. これは平均値(5個)より大幅に少ないと言えるか?(有意水準 5%)

この手の検定を行う際には以下の条件がある.

  1. 試行回数が 100 以上
  2. 各試行が i.i.d である;つまり確率操作がない

計算

α = 0.05 で左片側 z 検定を行う. 平均値より異常に少ないかどうか検定するので,z 値より T 値が小さいかどうかを見る. 有意水準 5% の z 値は -1.64. z > T のとき平均値より大幅に少ないといえる. ※ちなみに数式中の 0.5 は当選確率とは無関係

平均値より少ないことをテストするときの T 値
平均値より少ないことをテストするときの T 値
x = 2;あたりの個数
n = 1000;試行回数
p = 0.005;当選確率

z 値 = -1.64
T 値 = -1.57

z < T なので平均値より大幅に少ないとはいえない. つまり,確率操作がなかったとしてもありうる事象である.

有意水準を超えていてもそれは確率操作がある証拠にはならない. 5% ならば 20 人にひとりぐらいそんな人がいてもおかしくはない.

平均値より多いかどうかを検定するとき

T 値の計算に以下の式を使い,z < T のとき,平均値より多いといえる.

平均値より多いことをテストするときの T 値
平均値より多いことをテストするときの T 値

正規分布表(逆分布関数)

有意水準を変更したときの z 値は以下の表から取得する. たとえば優位水準を甘く取り 10% にするときは, α = 0.90 の場所の .000 つまり 1.282 を使う.

正規分布表

新訂 確率統計,高遠節夫・斎藤斉ほか4名著,大日本図書,p.161 の第4表より転載