Blender 用の PC スペックについて
Blender 用の PC で一番重要なのはメモリ容量で、その次が CPU や GPU 性能だ。なぜならメモリ容量が不足する場合、できない作業があるからだ。CPU(GPU)性能は作業速度に影響を与えるだけで、CPU(GPU)性能が低いからできない作業はほとんどない。
Blender でボトルネックになりやすいのは、レンダリング・プレビューとそれ以外の作業(モデリング・スカルプト・アニメーション作成など)とだ。レンダリング速度やビューポートの応答性を重視するなら GPU に予算をかける。スカルプト・シミュレーション・アニメーションを高速化したいなら CPU に予算をかける。
CPU や GPU のレンダリング速度は Blender Open Data が参考になる。
メモリ容量
最低 16 GB、個人的には 32 GB 以上を推奨する。8 GB では確実に足りない。8 GB のメモリ容量では、Blender とウェブブラウザと Photoshop とを同時に起動して使えない状況が出てくる。
ハイポリゴンスカルプト、高解像度レンダリング、大量のオブジェクトを配置してレンダリング等を行う場合に大容量のメモリが必要になる。
CPU V.S. GPU
近年では GPU が重要になってきている。Blender 3.5 ではビューポートコンポジターが実装され、コンポジターの結果をビューポート上で確認できるようになる。
VRAM にデータが収まらないような大規模なシーンをレンダリングしない場合、CPU より GPU に予算を割り当てた方がよいこともある。
GPU でも VRAM 容量は重要だ。特に Eevee は VRAM が不足すると警告なしで Blender が終了する。なので VRAM は最低でも4GB、可能なら VRAM 12 GB 以上の GPU が推奨される。
費用対効果でいえば、Core i5(Ryzen 5)+GeForce RTX 3060(12GB) という構成になるだろう。RTX 3060 は VRAM8GB のモデルもあるので注意。
CPU
Blender を扱う上で、基本的には GPU より CPU のほうが重要だ。GPU は Cycles や Eevee のレンダリングを高速化するだけだが、CPU はレンダリング(Eevee は除く)・スカルプト・アニメーション・物理シミュレーション・コンポジットも高速化してくれる。
ただしレンダリング速度・ビューポートの応答性を最重視するなら GPU が重要だ。2021 年 3 月の Blender Open Data で GeForce RTX 3060 Ti は 5 分以内でベンチを完走しているが、CPU でそれができているのは Ryzen Threadripper 3990X 64-Core だけだ。
CPU はアップグレードしづらいことがある。新しい世代の CPU を導入する場合、マザーボードやメモリを更新する必要があるかもしれない。それに対し GPU は単体で更新できるので、レンダリング速度に不満がでてから更新することもできる。
レンダリングにおける CPU の強みはメモリが安いことだ。大容量の VRAM を積んだ GPU は高価だが、DDR4(5) なら低コストで 100 GB を超えるメモリを搭載できる。
GPU
バージョン 2.80 以降は Eevee に加え、ビューポートのレンダリングにも GPU が影響するようになった。そのため CPU に内蔵されている GPU で Blender 2.80 以降を使うのは推奨しない。
Eevee を使う場合、GPU のメモリ容量やバス幅(インターフェイス)も重要になる。2K や 4K テクスチャを大量に使う場合、GPU のメモリ容量は最低でも 4GB は必要になる。
モデリングとそのルックの確認しかしないなら、GTX 1050 Ti 2GB や RX560 2GBで十分だ。複雑なシーンを Eevee でレンダリングする場合の最低ラインは GTX 1050 Ti 4GB もしくは GTX 1650 4GB だ。個人的には GTX 1660 6GB 以上や RX580 8GB 以上の GPU を推奨する。
AMD V.S. nVidia
次世代レンダラーの Cycles X のパフォーマンスは nVidia の GPU の方が良好だ。Blender 3.0: Cycles。
Blender Open Data でも GeForce のほうがレンダリングが速い。
以上のことから nVidia の GPU が推奨される。