Blender の右クリック選択を批判する
参考リンク
LMB/RMB questions from a Blender newbie
右クリック選択の利点
上記の動画を要約すると右クリック選択の利点は以下のようになる.
- マニピュレーターに隠れている頂点を選択できる
- ウェイトペイント時,右クリックでペイントするボーンを選択できる
- ウェイトペイントのマスクモード時,右クリックで面を選択できる
- タイムラインを使うモード(タイムライン・VSE・グラフエディタなど)で誤操作が起こりにくい
- トラッキングのマーカーがかぶっていても選択しやすい
左クリック選択時はどうするか
- Ctrl + Space でマニピュレーターを一時的に表示にするか,右から左へ選択する
- Shift を押しながら左クリックする
- 同上
- 左クリック選択時でも同じ
- 一度選択を解除するかズームする
疑問符が付く主張
指の負荷軽減になる
ほかの3DCGアプリケーションは知らないが,Blender では当てはまらないように思われる. というのも Blender はキーボードショートカットを多用するため, ほかの3DCGアプリケーションに対してクリック回数が少ないからだ. Blender において左クリック選択の負荷が問題になるならば, ほかの3DCGアプリケーションでもっと問題になっているはずだ.
古参のBlenderユーザーはみな右クリックを使っている
これは典型的な生存バイアスで,右クリック選択が合理的な理由にはならない. 右クリック選択が気に入らないユーザーはほかのアプリケーションを選択しただけだ.
右クリック選択の問題点
操作に一貫性がない
右クリック選択では以下の状況で一貫性を欠いている. 左クリック選択ならばこのような問題は起こらない.
- アウトライナは左クリックで選択
- ファイルブラウザでは左クリックでファイルを開けない(ダブルクリックが必要)
- テキストエディタは左クリックで選択
- MovieClipEditor のマスクのパスが右クリックで選択できない(アンカーポイントはできる). 左クリック選択では両方選択できる
左クリックが3Dカーソルの移動
左クリックは最もよく使うボタンのひとつだ. そこに3Dカーソルの移動という稀にしか使わない機能がマッピングされているのは不合理だ.
ペン入力時に不便
ペンタブ・液タブ使用時はペンについたボタンでは右クリックしづらい. 左クリック選択ならペン入力でもマウスでも違和感がない.
まとめ
Vim というテキストエディタはよく使いづらいといわれる. しかし Vim が使いづらいのは理由がある. Vim はキーボードだけで操作できるよう設計されたテキストエディタだ. カーソルの移動はすべてキーボードのコマンド操作で行う. しかし Vim は使い慣れれば,マウスで選択するテキストエディタよりも高速にテキストを編集できるようになる.
Blender の右クリック選択はそうだろうか. 操作に一貫性がないため初心者の学習に時間がかかり,ペン入力時に使いづらい. 左クリック選択より作業が捗るようには見えない.