Blender で輪郭抽出する方法まとめ
目次
概要
アンチエイリアス
直接テクスチャや頂点に描く方法
マテリアルのフレネルノードを使う方法
背面法(Inverted Hull)
ソリッド化モディフィア
ディスプレイスモディフィア
ベベルモディフィア
フリースタイル
コンポジット
UV
マテリアルオーバーライドを使って透過 UV をレンダリングする
Cycles・Eevee
Cryptomatte を使う(Cycles 2.80,Eevee 2.92)
AOV を使う(Cycles 2.82,Eevee 2.92)
レンダラー依存
Blender レンダー
Cycles
マテリアルの Ambient Occlusion・凸部分を使う
アドオン
外部リンク
概要
Blender で輪郭抽出する方法は大きく分けて3つある。背面法・コンポジット・フリースタイルだ。BEER レンダラーを使って GLSL シェーダを書く方法もある。まだアルファ版だが Line Art(LANPR) も強力な線画抽出機能だ。最終手段としてグリースペンシルがある。
リアルタイム | 交差線 | 線の装飾 | 線の出せる場所 | |
フレネル | 〇 | × | × | カメラから見て法線が横方向に向いている場所 |
背面法 | 〇 | × | × | 深度差・辺・マテリアル境界 |
BEER | 〇 | △ | × | アウトライン・深度差のある場所・オブジェクト間で交差線が出せる |
コンポジット | × | 〇 | × | 任意の場所 |
フリースタイル | × | △ | 〇 | 任意の辺(深度差・マテリアル境界・マークを付けた場所など) |
Line Art(LANPR) | △ | 〇 | 〇 | 任意の辺(深度差・マテリアル境界・マークを付けた場所など)・面が交差している箇所・任意の場所(ベイクした場合) |
グリースペンシル | 〇 | ー | 〇 | 任意の場所に線を描けるが、更新は手動。最終調整用 |
フレネル
マテリアルのフレネルノードを使う方法。リアルタイムだが、ラインの幅が一定ではなく、出る場所のコントロールが困難。
背面法
背面法はモディフィアでメッシュの法線を反転させたポリゴンを生成し、裏面を描画しないマテリアルをそのポリゴンに設定することで、輪郭を描画する。背面法の利点は以下の3つ。
- リアルタイムで表示できる
- 入り抜きを調整できる
- オブジェクト単位で輪郭の色を塗りわけられる
欠点は以下の2つ。
- 任意の場所に線を出すのが難しい
- メッシュのセットアップが必要なので使い回しができない
ソリッド化モディフィアのほかにベベルモディフィアも使える。こちらはリアルタイムで任意の辺に線を描画できる。
ソリッド化モディフィアを適用すると単純にポリゴンになるので、線の編集の自由度が上がる。
BEER(Blender Extended Expressive Render)
BEER の情報は bnpr で確認できる。BEER は線の描画をシェーダで行っている。
Freestyle がサポートされたカスタム Blender はこちら。BEER レンダラーを追加するアドオンはこちら。
advanced_line.glsl の線画抽出アルゴリズム
advanced_line はポストエフェクトで線画抽出を行っている。上下左右もしくはクロス方向にGバッファをサンプルして法線・深度・オブジェクトID を取得する。そしてシェーディング位置の法線・深度・ID とをそれぞれ比較して線を出すかどうかを判定している。
オブジェクトID が取得できるのでオブジェクト間の交差線が出せる。
外部リンク
The Quest for Very Wide Outlines An Exploration of GPU Silhouette Rendering
1. Freestyle giving very accurate calculation, post process, super slow. XD
— Lightbwk (@Lightbwk) July 25, 2020
2. LANPR, almost realtime, GP
3. BEER outline, shader, realtime
4. Compositor outline, offline
5. Inverted hull, geometry, realtime
5 options fitting all workflows
Add Line material node
シェーダ・GLSL で線画抽出を行うノードを追加する。アルゴリズムが BEER と似ている。
コンポジット
コンポジットで輪郭を抽出するにはフィルターノードのラプラス・ソーベル・キルシュ・プルウィットを使う。これらのノードは色の差がある場所に線を引く。線のコントロールには法線・深度・UV・頂点色・テクスチャ等が使える。
コンポジットで行う輪郭抽出はリアルタイムで表示できず入り抜きも入れられない。加えて線の塗りわけも手間がかかる。しかし任意の場所に線を出せる、ノードの使い回しができる利点がある。ただし不要な線を除去するためのマスクを作成する作業は再利用できない。
深度と法線とを使う方法はメッシュのセットアップが不要で手軽だ。しかし線のコントロールが難しく、法線を使って線を出すとノイズが乗る。UV を使う方法は追加の UV のセットアップが必要だが、法線や深度を使う方法よりコントロールが効き、ノイズも比較的少ない。
セットアップの手間をかけずにコンポジットで輪郭抽出を行うには、Cryptomatte・深度・法線・UV・AOV を利用して、ソーベルで輪郭抽出する。
フリースタイル
フリースタイルは破線や深度を使った入り抜きなど他の方法では実現できない機能を持つ。しかしフリースタイルには最大の欠点がある。入り抜きを入れると視点によっては途中で線が途切れる問題だ。これは動画では線のちらつきとして問題になる。現状(Blender 2.79)では避ける方法がないが、動画で使うときは入り抜きを使わないことで避けられる。スチルならばフリースタイルは有力な選択肢になる。

Line Art(LANPR)
LANPR GP New Solutions
LANPR は Line Art に改名された。
LANPR は独自の描画エンジンの開発を諦めて、グリースペンシルにデータを提供する機能に変更された。こうすることでグリースペンシルの線の装飾機能を利用でき、Cycles でも Eevee でもコンポジットで線を合成できるようになる。
この方法の最大の強みはグリースペンシルオブジェクトに線画をベイクできることだ。Line Art は線画編集の容易さで他を圧倒している。
計算を CPU で行うようになったので、複雑なシーンではリアルタイム描画ができない可能性がある。
ブランチは lanpr-under-gp。
古い情報
LANPR は Blender にリアルタイムフリースタイルと言える線画抽出機能を追加するプロジェクトだ。2019 年 8 月の時点ではまだアルファバージョンだが、GraphicAll で NPR で検索するとビルドをダウンロードできる。ブランチは soc-2019-npr。
フリースタイルとの違いは、線がリアルタイムで描画されることと、交差線が出せることだ。ただし交差線は事前計算が必要なので、リアルタイムに交差線が更新されるわけではない。
LANPR の DPIX は辺を構成するポリゴンを2枚取得し、視点から見て1枚が裏を向きもう1枚が表を向いているとき、その辺に線を引く。

外部リンク
Yiming's Blender Wiki Content Index
WYSIWYG NPR: Drawing Strokes Directly on 3D Models
Two Fast Methods for High-Quality Line Visibility
A modified ZS thinning algorithm by a hybrid approach
アンチエイリアス
Blender レンダーでアンチエイリアスをかける
Blender Render では Render > Anti-Aliasing > Full Sample にチェックを入れる。ただしレンダリング時間は長くなる。

ブラーを使った AA
カラーランプをつなぐ前にブラーをかける方法もある。ブラーの量が大きいと輪郭が太くなる。

デノイズノード(2.81)
バージョン 2.81 で追加されたデノイズノードを使うことでもアンチエイリアスがかけられる。
アンチエイリアスノード
コンポジットにアンチエイリアスノードを追加するパッチ(Compositor: Add Anti-Aliasing node)がある。
直接テクスチャや頂点に描く方法
テクスチャに描く
線の色を変更する必要がない場合、直接テクスチャに描く方法が簡単だ。線画用テクスチャとアルベドテクスチャが分離している場合は、シェーダで色を決めたり、視線によって線を非表示にすることもできる。
頂点色を使う
シェーダで頂点色を取得するには属性(Attribute)ノードを使う。

バージョン 2.81 からは頂点カラーノードが使える。

マテリアルのフレネルノードを使う方法

背面法(Inverted Hull)で輪郭抽出
背面法はモディフィアでメッシュの法線を反転させたポリゴンを生成し、裏面を描画しないマテリアルをそのポリゴンに設定することで、輪郭を描画する。メッシュの生成にソリッド化モディフィアとディスプレイスモディフィアとが使える。ソリッド化モディフィアを使う方が単純だが、線の入り抜きは頂点グループで行うことになる。それに対してディスプレイスモディフィアを使う利点は、線の入り抜きにテクスチャが使えることだ。
背面法はソリッド化モディフィアをつけたままでは、頂点グループを利用した線の入り抜き程度の装飾しかできない。しかしソリッド化モディフィアを適用してポリゴン化してしまえば、シェイプキーやラティス等を使って自由に線を変形でき、ポリゴン単位でマテリアルを変更できる。メッシュ内にポリゴンを縮小しておいて、シェイプキーを使って必要な部分に線を出すこともできる。
ソリッド化モディフィア
Eevee
Inverted-Hull-Setup-Tool
Eevee の背面法をセットアップするアドオン。
Cycles
Solidify modifier Contour/Outline(英語)
Blender Render
ソリッド化モディフィアの線の太さを調整する
板ポリゴンで背面法を使う
ソリッド化モディフィアは板ポリゴンではうまく機能しない。これは前髪などで問題になることがある。

板ポリゴンで背面法の輪郭検出をする場合は追加のソリッド化(Solidify)モディフィアをつけることで輪郭を表示させられる。このとき輪郭抽出用のソリッド化が下になるようにする。

毛先の頂点を結合しない場合
「S|0」で毛先の頂点の位置をそろえて、ソリッド化モディフィアを以下のように設定する。
- モード:複雑
- ソリッド化モード:コンストレイント
ソリッド化モディフィアのバグについて
バージョン 2.90 以前の複雑モードは法線が反転しないバグがある。複雑モードで背面法を使うには以下の3つの方法がある。
1. 法線反転用ソリッド化モディフィアを追加する
元のメッシュを編集する必要はないが、ソリッド化モディフィアが2つ必要になる。ポリゴン数が増えるため、アニメーションやレンダリングが遅くなる。

2. 元のメッシュの法線を反転させる
ソリッド化モディフィアが一つだけになる利点があるが、元のメッシュの法線が反転する。
3. ソリッド化とメッシュとのマテリアルを逆に設定する
ソリッド化モディフィアが一つだけになる利点があるが、元のメッシュのマテリアルが線画用マテリアルになる。
板ポリゴンでとがった輪郭線をつくる
板ポリゴンをソリッド化で立体化(こちらはモード:シンプルでも可)するときに、頂点グループで厚みをつけない部分を指定する。その後に「モード:複雑」のソリッド化モディフィアを追加すれば、板ポリゴンでもシャープな輪郭線が作れる。
髪の毛の毛先のモデリングの処理について pic.twitter.com/Ga6hdLwa1e
— つかばたー_(:3」∠)_ (@tukabutter3) December 17, 2019
ポリゴン貫通時に出るアウトラインの処理
ポリゴンの分割はこんな感じ。 pic.twitter.com/exGghsZNXC
— まじかる☆しげぽん@VRoid (@m_sigepon) 2018年11月4日
色トレス
背面法のマテリアルにテクスチャまたは色を指定することで線に色を付けられる。

頂点を法線方向に動かす
ディスプレイスモディフィアを使えば、ソリッド化モディフィアを適用した状態でも線用ポリゴンを法線方向に移動できる。それには線用ポリゴンの頂点グループを作成し、ディスプレイスモディフィアの方向をノーマルにする。ディスプレイスモディフィアの強さはマイナスになる。

ベベルモディフィアで任意の辺に線を出す
ベベルモディフィアは頂点グループや辺ベベルでベベルをかける場所を選択でき、ベベル部分のマテリアルを指定できる。辺にベベルを設定するにはエディットモードのプロパティパネルで平均ベベルウェイトを設定する。ベベルモディフィアの線描画はリアルタイムに表示できる利点がある。

ディスプレイスモディフィアを使う
Line art flip normal thecnique but with more details, procedural thickness.#blender #b3d #lineart #anime #cellshading pic.twitter.com/PLiYqtwfDJ
— EriS (@Erisdraw3D) 2018年12月15日
背面法でディスプレイスモディフィアを使う場合の設定手順は以下のようになる。
- オブジェクトをリンク複製(Alt + D)する
- リンク複製したオブジェクトにディスプレイスモディフィアをつける
- リンク複製したオブジェクトに裏を描画しないマテリアルを設定する
- ディスプレイスモディフィアの強さで線の厚みを設定する
設定するマテリアルは基本的にはソリッド化モディフィアと同じだが、放射ノードと透過ノードとの位置が違っている。

マテリアルはデフォルトではメッシュに適用される。同一メッシュに別マテリアルを設定するには、マテリアルのリンクをオブジェクトに変更する必要がある。

アーマチュアで変形する場合は、ディスプレイスモディフィアの上にアーマチュアを配置する必要がある。
外部リンク
コンポジット
コンポジットで行う輪郭抽出はフィルターノードのラプラス・ソーベル・キルシュ・プルウィットを使う。これらのノードは色に差があればそこに線を出せるので、設定を工夫すれば任意の場所に線を出せる。おすすめはソーベルとラプラス+ガウスぼかしだ。
ソーベルはプルウィットの中央に重みをつけ、ノイズを抑えるために平均化を行ったものだ。そのためプルウィットはあまり使われない。
キルシュはピクセルの八方向に輪郭抽出を実行し、差が最大のものを採用する。検出力が強い分ノイズも出やすい。
ピクセルの濃度差の一次微分をとる、プルウィット・ソーベル・キルシュはグラデーションでも輪郭を抽出できるが、ノイズが出やすい。ラプラスは二次微分をとり、より高性能だが前処理が必要になる。ラプラスは画像内にあるノイズに弱いので、前処理としてガウスぼかしがよく使われる。
拡張/浸食(Dilate/Erode)ノードとミックスの差分ノードとを組み合わせる方法もある。
外部リンク
OpenCVとVisual C++による画像処理と認識(7)
法線/深度を使う
法線のみを使う
フィルターのラプラス(Laplace)やソーベル(Sobel)を使えば法線を線画に変換できる。

以下のように 3 つの直交するベクトルとの内積をそれぞれ RGB として解釈させると、法線の検出力を調整できる。
単純な深度を使った輪郭抽出
深度は値が [0, 1] の範囲に収まらないので正規化が必要になる。正規化によって深度を [0, 1] の範囲に変換することで深度を色として解釈できるようになる。 エッジノードでは深度を対数に変換することで、カメラから見て手前にある深度の精度を上げている。

深度に色をつける
エッジノードは深度に色を付けることで深度の検出力をあげている。深度を正規化した後にカラーランプで色を付けると深度差が微妙な部分にも線が出せる。カラーランプのカラーモードを HSL にして、補間モードを時計回りにすると簡単に深度に虹色をマップできる。

ふたつを合成

拡張/浸食(Dilate/Erode)ノードとミックスの差分ノードとを組み合わせる方法
入力としては正規化した深度とミストが使える。
明度差/色を使う
明度差
カラーランプで線の出る範囲を調節できる。
色
上のカラーランプは明度差をコントロールし、下の方は他の色を引き算する強さを調整する。

Object/Material ID を使う
輪郭抽出したいオブジェクトに Object > Pass Index を設定。 マテリアルの場合 Material > Options > Pass Index。


オブジェクトのみを表示したいので、Render > Shading > Alpha を Transparent にする。 Render Layer > Passes > Object Index にチェックを入れる。 マテリアルの場合は Material Index。


以下のようにノードをつなぐ。ID Mask の Index に設定した ID を指定する。


UV を直接使う方法
UV 座標を使って線を出すこともできる。この方法は以下の利点がある。
- セットアップの手間が小さい
- 同時に深度も検出できる
- 辺のある場所ならば自由に線が描ける
欠点は以下の3つ。
- 透過マテリアルがあると使えない
- 任意の場所に線を出せない
- テクスチャを使う場合は2回レンダリングが必要
バージョン 2.82 以降の Cycles とバージョン 2.92 以降の Eevee では AOV が使えるので、輪郭抽出用の UV をそのままコンポジットに持ち込める。加えて欠点の1と3がなくなる。
UV を直接使う方法の一番の欠点は透過マテリアルを使えない点だ。透過マテリアルがあると UV パスは何も出力しない。透過マテリアルごと UV をレンダリングする場合は、マテリアルオーバーライドを使って UV をレンダリングすることで UV を使って輪郭を抽出できる。
UV を使う方法では深度によっても線を抽出する。深度が異なる場所は UV 座標も異なる可能性が高いからだ。深度を使う方法で精度が不足する場合は UV を使うことで疑似的に深度を使った線を抽出できる。
手順
手順は簡単で線画抽出用UVを作成し「UVマッピング(U)> プロジェクション」でUV展開するだけだ。後は線が出てほしい部分のUVを縮小するか、移動するかする。
超簡単!blender 3d 輪郭線を抽出方法の『node』アニメ調に最適
三次元 UV を出力する
正面と横とから線画出力用のUVを作成し、色として出力する。3次元UVはマテリアルオーバーライドを使って色として出力する。



マテリアルオーバーライドを使って透過 UV をレンダリングする
マテリアルオーバーライドを使う場合、マテリアルは透過なしか UV ごと透過するかになる。透過無しマテリアルでオーバーライドする場合は UV パスがそのまま使える。UV を色としてレンダリングする場合のマテリアルは以下のようになる。
覆い焼きを使う方法
覆い焼きでは明暗差のある場所に線を出せる。ソーベルやラプラスの代わりに使うこともできる。


頂点色を使ってソーベルの輪郭抽出をコントロールする
頂点色を使ってレンダリングしてフィルタで輪郭抽出する。頂点色を変更することで輪郭をコントロールできる。
Blender レンダーで頂点色を使ってレンダリングするには、マテリアルの「陰影なし」と「頂点カラーペイント」にチェックを入れて頂点色を使ってレンダリングする。Eevee では放射(Emission)ノードを使う。

輪郭の太さを変更する
拡張/浸食(Dilate/Erode)を使えば輪郭の太さを変更できる。

ブラーをかけることで、輪郭を太くできる。
インペイント(Inpaint)
線でない部分をカラーキー(Color Key)ノードでアルファ抜きすると、インペイントノードで輪郭線を太くできる。
頂点ペイント tips
頂点ペイント作業を効率化する Vertex Color Master for Blender アドオンがある。
マスクして塗るとエッジの効かせて色を塗れる。マスクする面は左クリックモードでは Shift + 左クリックで選択できる。

現状(バージョン 2.80)では頂点ペイントでテクスチャペイントのようにグラデーションをかけられない。グラデーションをかけたいときはステンシルテクスチャを作る。ステンシルテクスチャはマウス右ドラッグで平行移動。Shift + マウス右ドラッグで拡大縮小できる。

レンダリング設定
頂点ペイント用のレンダーレイヤーを作成し、マテリアルオーバーライドを使ってレンダリングする。マテリアルオーバーライドを使うとレンダリングするオブジェクトすべてに、指定したマテリアルを適用してレンダリングされる。マテリアルオーバーライドを使わない場合はオブジェクトを複製しなければならず、管理が面倒になる。

ノード設定
フィルタを使って輪郭を抽出する。
ノードで余計な線を消す方法
オブジェクトの交差する部分に線を出す
フィルタのキルシュを使う方法はセルアニメ風輪郭線の生成方法を参照。
レンダーレイヤーのマスクを適用してレンダリングすれば、ソーベルなどのフィルターで輪郭抽出できる。

Cycles・Eevee
Cryptomatte(Cycles 2.80,Eevee 2.92)
Cycles ではバージョン 2.80 以降、Eevee ではバージョン 2.92 以降で Cryptomatte が使えるので、オブジェクトやマテリアルに ID を設定する必要はない。
Cryptomatte を使うには、「プロパティパネル > ビューレイヤー > パス」にあるオブジェクトまたはマテリアルにチェックを入れ、コンポジットで Cryptomatte ノードにつなぐ。特定の色だけ取得したい場合は、オブジェクト名を入力するか、スポイトで色を取得する。


AOV を使う(Cycles 2.82,Eevee 2.92)
Cycles ではバージョン 2.82 以降、Eevee では 2.92 以降で AOV が使える。AOV を使えばコンポジットに必要なデータをレンダリングするのにマテリアルオーバーライドを使って何度もレンダリングする必要がなくなる。頂点色使えば頂点に任意のデータを格納できる。テクスチャにデータを格納しその UV 座標を出力する方法もある。
AOV を使うにはレンダーエンジンを Cycles にして、パスに Shader AOV を追加し、AOV Output ノードを使う。
Eevee は3Dビューのシェーディングのレンダーパスで AOV をビューポートでプレビューできる。Cycles はマテリアルプレビューの時のみプレビューできる。

レンダラー依存
ポストプロセスの辺

穴にできた線を消す方法
深度や法線で線を出す場合、眼窩に線が出やすい。このような穴にできる線は透明なポリゴンを張ることで防ぐことができる。
透明なポリゴンはレイトレース透過にし、影を生成しないよう設定する。Z値透過は精度の問題でフリンジが発生することがある。


Eevee
バージョン 2.92 の Eevee には AOV と Cryptomatte とが実装されたので以下のハックは不要になった。
ビューレイヤー
Eevee のビューレイヤーは 2.80 では使いづらい。2.80 は Eevee にはマテリアルオーバーライドが実装されていないので、以下の手順でレンダーレイヤーを作る必要がある。
- オブジェクトを独立したコレクションに移動させる
- そのコレクションをリンク複製
- マテリアルをメッシュではなくオブジェクトに適用するように変更
- オブジェクトにマテリアルを設定
- ビューレイヤーを作成し、設定
- レンダリング
SSS の法線と色とに任意のデータを出力する
SSS の色や法線に任意のデータを出力することで、レンダリング回数を減らせる。レンダリングの高速な Eevee でも、ビューレイヤーとコレクションの数を減らして管理を容易にする効果がある。
ただし法線が正規化されることに注意する必要がある。法線として出力されるデータは変化するので、変化してほしくないデータは色として出力する。以下の例では UV を法線として出力している。しかしコンポジットで UV マッピングノードを使うつもりなら、UV を色として出力する必要がある。その場合は正確な頂点色は取得できなくなる。
レンダータブの SSS にチェックを入れると同時に、アルベドを分離にチェックを入れる。バージョン 2.81 からは常に「アルベドを分離」オプションが有効になるため、チェックボックスは削除された。
Cycles
マテリアルの Ambient Occlusion・凸部分を使う
アンビエントオクルージョンの代わりにジオメトリノードの凸部分が使える。凸部分はローポリではうまく抽出できないが、ハイポリならば AO より高速でノイズも少ない。
ベベルノードを使う
ベベルノードと法線との差分を計算する。ミックスノードの差分をとる方法や、内積とアークコサインでベクトルの角度を計算する方法がある。

OSL で輪郭抽出
toon edges along the boundaries of vertex colors also can be drawn with OSL #b3d #OpenShadingLanguage pic.twitter.com/uEnP09n5aM
— irieぐぬー (@iRi_E) 2018年10月31日
OSL で getmessage("trace", "geom:uv",...) や getattribute("geom:uv", uv) で UV 座標を取得する際に、Image Texture ノードを配置しておく必要がある。そうしないと OSL 上で UV 座標を取得できない。
フリースタイル
フリースタイルの線のみ取得する
バージョン 2.83 からは Eevee と Cycles でフリースタイルの線を取得できるようになった。「プロパティパネル > ビューレイヤー > Freestyle」でレンダーパスに出力にチェックを入れる。

ワークベンチレンダラーと組み合わせて交差線を出す
ちょっと小ネタ
— どぶごんずい (@dovnzui) January 8, 2020
freestyleのチェックボックスを有効にしてレンダーエンジンをworkbenchに変えてもfreestyleは使える。これを利用してoutline有効にした状態でレンダリングすると交差した部分にもエッジが引ける#b3d pic.twitter.com/Py3TSGxDJo
Blender Render
背景を透過して、レンダーレイヤー > レイヤー > Freestyle にのみチェックを入れる。

Cycles
背景を透過して、ビューレイヤー > フィルター > Freestyle にのみチェックを入れる。

Eevee
背景を透過して、すべてのオブジェクトに透過マテリアルを設定すれば取得できる。しかし 2.80 にはマテリアルオーバーライドがないので手間がかかる。フリースタイルのラインセットを削除すれば、フリースタイルの不要なビューレイヤーでフリースタイルのレンダリングを防止できる。
オブジェクトの交差する部分に線を出す
フリースタイルとブーリアンを使う方法は交差した部分に線が出ないんですけど…を参照。
外部リンク
Little workflow hack that I used to add my basic Greasepencil Stroke outlines 😋
— Lua 🎏 (@luamono) March 17, 2020
(Just a little teaser, I will adress this more thoroughly in my artstation breakdown.)
#b3d #3dartist #madewithblender #greasepencil #Blender3D #3dart pic.twitter.com/JkkHSXEPI5
アドオン
Lineworks($20)
グリースペンシルの線にリグをつけるアドオン。メッシュに沿った線が描ける。
CHALK STYLE Wireframe
ワイヤーフレームとAOを合成した画像をレンダリングするアドオン。
外部リンク
LEARNING RESOURCES
モデリング・シェーディング・輪郭抽出等の NPR に関する情報のリンク集(英語)。
ノードベースの輪郭抽出
Blenderのコンポジット処理のみで手書き風のセルシェーディングを実現するノードを作成しました.
— 大城 (@Magryllia) 2018年6月9日
一応データを置いとくので欲しい人はどうぞ.(https://t.co/jNSRjiqPZv)#Blender #b3d pic.twitter.com/2OO8vZJjPe
運動と同期して輪郭線の歪みとスピード線を生成するコンポジット処理を作ってみました.
— 大城🐈 (@Magryllia) 2018年11月3日
データ置いとくので(不完全ですが…)見たい人どうぞ.https://t.co/qb7y51FN0k#b3d #bnpr pic.twitter.com/iJJi3rNqZq
イラスト風画像加工アプリ " Olli " を模倣したコンポジット処理です.
— 大城🐈 (@Magryllia) 2018年11月10日
シンプルな画像に限ればそれっぽく見える気がします.ザリガニ画像はBoxsuiさんよりお借りしました
1枚目:オリジナル 2枚目:Olli 3枚目:コンポジット
↓データです(実用性はあまりないです)https://t.co/1KAaEojh4P #b3d pic.twitter.com/GoZqvqXc0L
I always get questions about how I do my outlines in my renders and this is the method I came up with. The freestyle settings don't always work so you have to get creative to get good outlines! #tutorial #blender #Blender3D #b3d pic.twitter.com/fEJpSbH1jJ
— Niall Stenson Art (@niallstensonart) October 30, 2019
Simple edge detection in Blender shader nodes
— Iyad Ahmed (@cgonfire) May 11, 2020
follow for more ^_#b3d #Algorithms pic.twitter.com/eGN5F86BDq
漫画用の線画をレンダリングする
3DCGで背景を効率的に描こう! 漫画制作で使える3DCGの便利TIPS